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さくらそう栽培において陥りやすいトラブル(病気・害虫など)について私が経験したものの内、代表的なものを中心に掲載しています。

 

>>アオムシ

>>アブラムシ

>>エカキムシ/ハモグリバエ

>>コガネムシ

>>白絹病/菌核病

>>日照不足

>>ネマトーダ(ネグサレセンチュウ)

>>ネマトーダ(ネコブセンチュウ)

>>ハダニ

>>ヨトウムシ

 

アオムシ ↑このページのトップへ

4月の後半から6月ころに発生することが多く、主に葉を食害します。地中にもぐることがないため、ヨトウムシに比べると発見しやすいです。大発生するということはないと思いますが、この時期の葉は特に重要ですから発見し次第駆除した方が良いでしょう。

蕾も食害に遭うことがあります。

こちらは蕾です。

穴があけられており、蕾自体も見苦しく変形しています。

蕾を割ってみると案の定アオムシが出てきました。

食害に遭うのは葉だけではありません。その年の花にも大きく影響しますから、見回りは念入りにした方がよさそうです。

手作業による駆除のほか、マラソン剤やアセフェート剤がよく効きます。

 

アブラムシ ↑このページのトップへ

目視では発見しにくいので厄介ですが、アブラムシ自体による被害はたかがしれています。しかしそれにも増してこのアブラムシはウイルス病を媒介するといわれているので要注意です。有名なチューリップのモザイク病もアブラムシが媒介するといわれています。

花の付け根についたアブラムシ。

繁殖力が強く、あっという間に広がりますから早めに対策をする必要があります。

虫自体が小さいので手で除去するのは大変です。アブラムシは繁殖力が強く、すぐに広がりますが、幸い薬剤がよく効きますので発生初期の段階ならば簡単に駆除できます。

 

エカキムシ/ハモグリバエ ↑このページのトップへ

葉に筆で絵を描いたような模様が現れます。よほど数多く発生すれば別ですが、通常は見た目が悪くなる以外に際立った障害にはなりません。

葉の表裏をよく観察し、虫が見つかれば駆除します。大抵食害痕の先端部分にいます。

Photo

虫自体の発見は容易ですし大規模に発生する病気というわけでもありませんから、薬品を使用するよりは直接虫を駆除した方が効率的だと思います。

 

コガネムシ ↑このページのトップへ

ここではコガネムシの幼虫を指します。幼虫は地中で根を食害するので地上のアオムシなどと比べると発見が難しいです。

突然葉に元気がなくなったらこれを疑ってみるのも良いかもしれません。

コガネムシの幼虫が活動すると鉢土がふかふかの状態になります。

こういった症状が確認できれば、まず地中に何かいると考えて間違いないでしょう。

ただ、大きな個体になると薬がほとんど効かなくなるようです。

 

白絹病/菌核病 ↑このページのトップへ

梅雨時など、湿度が高く、ジメジメしているときに多く発生します。右の写真には菌糸と菌核(茶色い粒)が写っています。

これは末期の症状で、鉢全体に菌が広がってしまっていました。他への波及を防止するため、用土は隔離して処分します。

表土の写真です。鹿沼土よりも腐葉土を中心に広がっているように見えます。

鉢の中は常に清潔にすること、清潔な土を使うこと、過湿にしすぎないことが大切です。粗悪な腐葉土でも発生しやすくなります。

掘り起こした根茎の様子です(7月8日)すでに半分以上病原菌に侵されています。一番右側に写っている芽はかろうじて生ています。

菌は植物の体内にかなり深く入り込むようですから、罹病した株は隔離して栽培した方が無難です。

一旦発症してしまうと治療するのは難しいです。病菌はかなり強く、あっという間に株が枯死します。

病気の鉢を発見したら根茎を取り出して水洗いした後、罹病した根をきれいに切り取り、清潔な用土に仮植えしておきます。

貴重な品種ならばこのような対処法を試してみる価値があると思いますが、保存用の鉢が二つ以上ある場合など、品種の保存に支障をきたさないのであれば思い切ってあきらめることも必要かもしれません。

原因究明とその後の経過については白絹病/菌核病対策のページをご覧ください。

 

日照不足 ↑このページのトップへ

病気というわけではありませんが、さくらそうとって十分な日照は最重要です。

画像の株は日陰に置いてあったため、葉柄が徒長してしまったものです。安定感に欠け、葉の寿命も短くなります。

Photo

全体的に締まった草姿に仕上げるためにも、次年度の立派な芽を育てるためにも、十分に日光に当てることが大切です。

また、窒素肥料の施しすぎで葉が軟弱に大きくなりすぎた場合にも病気や食害のリスクが高まりますので注意します。

 

ネマトーダ(ネグサレセンチュウ) ↑このページのトップへ

センチュウ(線虫)が根の中に侵入して植物にダメージを与えます。

写真の根は被害が少ない方ですが、それでも根が腐り落ちている箇所があります。茎の部分を残して根が全て腐り落ちているものも見かけることがあります。

センチュウは地中で活動するので清潔な培養土を使用することが大切です。

センチュウにより、白い根の一部が黒くなっています。

このまま植えつけると被害が広がり、株が弱ってしまいます。

このセンチュウは養分の吸収や、根の生育を著しく阻害します。その結果、増殖不良に陥ったり、満足に花が咲かなくなったりします。

一度センチュウの被害にあった土をそのまま使用すると被害が全体に広がってしまいます。焼くなり蒸すなりして消毒してから使用するか、思い切って処分することが必要です。外部から入手した株も根の状態を良く観察した方が良いと思います。

 

ネマトーダ(ネコブセンチュウ) ↑このページのトップへ

ネグサレセンチュウと同じように、根にダメージを与えるセンチュウの一種です。

これにやられると画像のように、根に小さな瘤ができます。大切な根がこんな状態ではとても健全な生育は望めません。

他の鉢に広がる可能性がありますから、見つけ次第何らかの対処をするべきです。

害はネグサレセンチュウ程ではありませんが、植物の勢いが弱まることには変わりなく、対策が必要です。

 

ハダニ ↑このページのトップへ

非常に小さな虫が新芽や葉の裏につき、汁を吸います。数多く発生すると画像のように、葉の緑がかすんできます。

乾燥しやすい場所で発生しやすいので、まず栽培場所の再確認をすると発生原因の究明に役立ちます。

ハダニは非常に小さいですが、なんとか目視で発見できる大きさです。

専用の薬剤を使用して駆除します。これもアブラムシなどと同様、環境を改善しない限りすぐに再発します。薬剤の使用と同時に栽培環境を見直すことが大切だと思います。

 

ヨトウムシ ↑このページのトップへ

葉や果実を食害します。日中は地中に潜っているため、発見するのは大変ですが被害にあった株はすぐにそれとわかります。大きいイモムシは一度にかなりの量の葉を食べてしまうので早めに駆除することが大切です。

食害されている葉の根元を掘ってみると発見できることがあります。夜間に見回りをするのも効果的です。

食害痕の様子です。

大きい個体になると一晩で葉の一枚や二枚はたいらげてしまいます。

花後の葉は特に重要な器官ですから、イモムシを早急に駆除する必要があります。

食害に遭った果実です。

ここまで順調にきていたものが一晩でこの有様です。

くれぐれもご注意を。

アブラムシやハダニと異なり、一度に大量に発生するわけではありませんので薬品を使用するよりも手作業で駆除した方が効果的だと思います。

 

 

薬品の使用について

環境やコスト、健康への悪影響などの観点から、できるだけ薬品は使用したくないものです。しかし枯らしてしまったり、おかしな病気を蔓延させてしまっては元も子もないわけですから、必要と感じたら使用してみるのがいいと思います。

濃度に関して、一般にはごく薄めに希釈して散布するのが良いといわれます。確かにそのとおりですが、あまりに薄すぎても逆に思ったような効果が出ないことがあります。病気や害虫が発生しにくい環境を整えて普段から予防に努めることが一番の薬かもしれません。

 

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