ホームページへ


ホームページさくらそうとは栽培方法コラムサイトマップ
さくらそう図鑑参考文献・資料お問い合わせリンク

ホームページ > 病気・害虫 > 白絹病/菌核病


 

比較的強いといわれるさくらそうといえども病害虫に侵されることはあります。しかも、病害虫に対する耐性が強いだけに、調子を崩したり、環境が悪かったりしていったん病気が発生してしまうと完全に治すことは難しい場合が多いです。

中でも特に厄介な白絹病/菌核病について考えてみたいと思います。

 

白絹病について

土壌中の菌が原因となって起こります。梅雨〜夏にかけての高温多湿時に発生しやすいです。何例か観察してみたところによれば、地中で菌糸が繁殖し、飽和状態になった後で地上に姿(菌糸や菌核)を現すようです。梅雨明け以降には発生しないことが多いことから(我が家では)、高温プラス多湿という周囲の悪条件が2つそろった場合に発生すると考えていいかと思います。

ちなみに我が家で被害にあった鉢は全て鉢底のゴロ土がない(ゴロありの場合に比べて過湿状態が長く続く)鉢でした。

 

症状 ↑このページのトップへ

まだ葉がついている鉢では、葉が根元から倒れ伏して枯死します。そして葉の付け根には菌糸や菌核が現れます。この頃には既に根茎も手遅れになっている可能性が高いです。

既に葉が枯れて休眠に入った鉢にも発生します。主に鉢の側面付近の表土上に菌糸や菌核が現れます。これも手遅れと考えて間違いないでしょう。

こうなってしまってから初めて事の重大さに気づくことが多いのですが、この症状が出た段階は既に末期ですから手遅れといわざるを得ません。

他の鉢への波及を防止するために、病気が発生した土は焼却処分するなり、ビニル袋などに入れ、密封した状態にして処分するなりして感染源をできるだけなくすことが大切です。『色分け花図鑑 桜草』には鉢土ごと電子レンジで加熱し、殺菌してから処分するといった記述があります。なお、汚染された土の他に、土に触れた水によっても菌が広がるとする情報もありますので、素早い隔離が大切といえます。

調べてみたところによると、この菌核は相当に暑さ・寒さに強く、土壌中で何年も生きているそうです。比較的地表付近に多く見られ、地中深くでは見つからない(生きられない?)ため、菌に侵された土は地中深く(30センチ以上)の土と取替える作業をすると当面の発生は防止できるようです。

 

対策 ↑このページのトップへ

一度発生してしまうと完治させることは非常に難しいと思います。詳しい対処法は病気・害虫ページに譲るとして、ここではいかに発生を予防するかという点について考えたいと思います。

■対策1 清潔な用土を使用する

先にも書きましたが、この病気は土が基点となって広がるようです。ですから、まずは清潔な用土を使用することが重要になります。一度病気が発生した土は廃棄することをお勧めしますが、万が一再使用する場合には面倒でも土を焼くなどして消毒する必要がありそうです。やっかいな害虫の類も駆除できるので手間がかかりますがお勧めです。また、清潔な用土を使用すると根の活着率も良くなります。実生においても、不潔な用土と清潔な用土とでは芽出しとその後の成長に歴然とした差が出ます。

■対策2 粗悪な腐葉土を使用しない

病気・害虫ページにも記述がありますが、私の観察したところでは主に腐葉土自体や腐葉土に混ざった小枝など、有機質の部分を中心に菌糸が広がっているように感じます。ですから、腐葉土を使用する際には小枝や未熟な葉など、後々問題になりそうなものは極力排除して用いた方が良いでしょう。

さらに、私の観察によれば、既に店頭に並んでいる袋の中に白い菌糸が発生している製品が散見されました。しかも特定の銘柄に偏って発生していました。これが白絹病や菌核病と関係があるかどうかはわかりませんが、念のため付記しておきます。土選びの際には値段のみではなく、品質にも気を使う必要がありそうです。

■対策3 乾燥気味に管理する(過湿状態を避ける)

数多く鉢を管理している方はお分かりでしょうが、用土の乾く時期はどの鉢でも一定というわけではありません。すぐに乾燥する鉢もあればなかなか乾燥しない鉢もあります。我が家でこの病気が発生した鉢は全て用土が乾燥しにくい鉢でした。朝出かける間際に潅水するのですが、時間に余裕がなく、乾きにくい鉢にもそうでない鉢にも同じように潅水したのが良くなかったのでしょう。

対策としては、鉢底にゴロ土を入れる、通気性の良い鉢を使う、鉢のサイズにあった芽数を植えつける、用土の配合を調節する、潅水の間隔に気を遣うといったことが大切だと思います。葉が枯れてしまうと蒸散がなくなるのでさらに用土が乾燥しにくくなりますが(注)、心配であればトレニアを活用すると良いと思います。7月の栽培法に詳しい説明があります。トレニアを栽培することはこういった意味でも合理的といえそうです。

(注)置き場所によります。梅雨が明けてしまえば過湿に関してはそれほど問題は出ないと思われます。

■対策4 薬剤を散布して発生を予防する

対策を万全にして挑んでも、やはり病気が発生する可能性はゼロではありません。病気が発生した後での薬剤の効果は低いですが、観察してみて怪しいと感じられる鉢に散布しておくと予防効果が期待できそうです。とはいえ、対策3あたりまで万全であれば無理に薬剤を使用する必要はないとも思います。

 

白絹病その後の経過 ↑このページのトップへ

今日(9月15日)に、7月はじめに発症して植え替えをした株の様子を見てみました。芽をいくつかの環境が異なる鉢に分けて経過を観察してみましたので途中経過を発表します。

おことわり:芽の状態があまりにひどかったため、かなり投げやりに措置を講じたせいで栽培条件の振り分けは意味不明なものになってしまっています。ご了承ください。

■栽培条件

1 4号駄温鉢に赤玉土単用ゴロなし4芽植え

2 4号駄温鉢に赤玉土単用ゴロあり4芽植え

3 4号駄温鉢に赤玉土5腐葉土2軽石3ゴロあり4芽植え

まず、鉢の置き場所は西日のみあたらない直射日光下です。これは中途半端な半日陰に置くとジメジメしてしまってよくないと考えたため、ダメ元であえて直射日光下で栽培したものです(株全体が完全に罹患しており、セオリー通りの方法では現状を打破できないと考えたため)。また、葉からの蒸散がなく、過湿状態になりやすいと思ったのでトレニアを2本ずつ植え込みました(いずれも菌糸の影響により1〜2週間で枯死)。潅水は表土が乾燥したのを確認してから行い、さらにべノミル剤を計3回潅水しています。

■途中経過(9月15日現在)

意外にも1、2が全滅、3が全て現状維持といった具合でした。

まず、1、2は根が全て腐り、芽の部分がわずかに生き残っているのみでした。これらに対し3は植えたときの状態を保っており(成長していないが腐りこんでもいない)、今後に期待できそうです。

おそらく、わずかに加えた軽石が鉢底のゴロ土とともに適度な通気性の確保に役立ったのだと思います。加えて腐葉土のもつ適度な保水性が鉢全体の適湿を保つことに貢献したためと思われます。地上の植物(トレニアの地際には相当数の菌糸がつきました)が枯死した後には表土上において菌糸の活動は観察されませんでした。乾燥気味に管理したこと・直射日光下に置くことででメリハリをつけた採光ができたこと・普段よりも通気性を重視した配合の培養土を使用したこと、などが功を奏したのだと思います。

少々早い芽分け(植え替え)になってしまいましたが、果たして来年芽を出してくれるのか観察を続けていきたいと思います。

■途中経過(12月01日現在)

いくつかある根茎のうちの一つを観察してみたところ、生き残った芽の部分がわずかながら成長し、細根を出していました。このままの状態でいけば何とか復活させられそうです。

―参考写真―

白絹病に侵されたトレニア

 

 

人によって全く病気が発生しないという方と、最近はそこそこ程度に発生するという方がいらっしゃるように感じます。

ついこの間、さくらそうナーセリーの方にこの話をしたところ、そんな病気は聞いたことがないよと笑われ、お説教されてしまいました・・・・。さすがにプロは違いますね。私も見習いたいものです。

 

ホームページへ | ↑このページのトップへ

趣味でさくらそう
Copyright(C) since2005. hobby of sakuraso. all rights reserved.